【金・コモディティ】米実質金利の動向と金利なき資産としての魅力

金(ゴールド)

足元の金(ゴールド)市場は、米国の金融政策をめぐる不確実性や世界的な地政学リスクなどを背景に、変動の大きい展開となっています。

金価格には、米実質金利や米ドル、投資家のリスク選好、地政学リスク、中央銀行による金購入など、複数の要因が影響します。

特に近年は、中央銀行による金購入や地政学的・経済的な不確実性も金需要を支える要因となっています。一方で、金価格と実質金利の関係は常に一定ではなく、中央銀行の買いなど他の要因によって相殺されることもあります。

本日は、こうしたマクロ経済環境の変化が、金市場にどのような影響を与える可能性があるのかを整理します。

米実質金利の動向と「金利を生まない資産」としての金

金価格を考えるうえで、米実質金利は重要な変数の一つです。

一般的に、実質金利が低下すると、利息や配当を生まない金を保有する機会費用が低下するため、金にとって追い風となる場合があります。

ただし、実質金利と金価格の関係は単純な逆相関ではありません。 World Gold Councilも、2022年以降は実質金利が高い局面でも、投資家のリスク回避や中央銀行の金購入など、他の要因が金価格を支えてきたと分析しています。

現在の米金融政策については注意が必要です。

2026年9月16日のFOMCで、FRBは政策金利を0.25%引き上げ、誘導目標を**3.75~4.00%**としました。FRBは「インフレは依然として高い」としつつ、経済活動は堅調に拡大しているとの認識を示しています。

また、2026年8月の米CPIは前年比3.4%上昇、食品・エネルギーを除くコアCPIは前年比2.4%上昇でした。インフレ率はFRBの2%目標をなお上回っています。

今後のマクロ経済的な展望とリスク要因

今後は、インフレの鈍化がどの程度進むのか、雇用・景気がどのように推移するのか、そしてFRBが今後どのような金融政策を選択するのかが重要なポイントになります。

インフレが再加速したり、経済指標が予想以上に強かったりした場合、金利上昇や米ドル高を通じて金価格に下押し圧力がかかる可能性があります。

一方、景気減速やインフレ鈍化によって金利低下が意識されれば、金にとって追い風となる可能性があります。

高まる地政学リスクと安全資産としての金

中東情勢などを含む地政学的な不確実性は、金市場を考えるうえで重要な要素です。

地政学的な緊張が高まると、投資家がリスク資産へのエクスポージャーを減らし、金などの分散・防衛的な資産への需要を高める場合があります。

World Gold Councilも、2026年について、地政学的リスクや経済的不確実性が金需要を支える要因になると分析しています。

ただし、「地政学リスクが高まれば必ず金が上昇する」というわけではありません。

市場の流動性確保や利益確定売りなど、別の要因が同時に働くこともあります。

今後のマクロ経済的な展望とリスク要因

地政学的な緊張が長期化した場合、エネルギー価格やサプライチェーンを通じてインフレ圧力が高まる可能性があります。

一方、緊張緩和や和平への期待が強まれば、それまで金価格に織り込まれていた地政学的なリスクプレミアムが縮小し、金価格の調整につながる可能性もあります。。

中央銀行による金購入と金市場の構造的な需要

近年の金市場で注目されているのが、中央銀行による金購入です。

中央銀行は外貨準備の分散や危機時の備えなどを目的として金を保有しており、近年は金保有を増やす動きが続いています。

World Gold Councilによると、中央銀行の2025年の金の純購入量は863トンでした。2024年まで3年連続で1,000トンを超えていた水準からは減少したものの、引き続き大規模な買いが続いています。

2026年についても、中央銀行は引き続き重要な買い手になると見込まれています。ただし、2026年上期は中央銀行の純購入量が345トンとなり、前年同期より弱く、国によっては売却も確認されています。

そのため、

「中央銀行が一方向に買い続けるため、金価格の下値が保証されている」

と考えるのは適切ではありません。

中央銀行の金購入は金市場を支える重要な構造要因の一つですが、購入ペースは変動します。

今後のマクロ経済的な展望とリスク要因

今後も中央銀行による金購入が続くかどうかは、各国の外貨準備政策、金価格、為替市場、地政学的環境などに左右されます。

2026年についてWorld Gold Councilは、中央銀行の純購入は引き続き堅調としながらも、2025年の863トンを下回る可能性を示しています。

コモディティ市場を見るうえでの注意点

金市場はコモディティ市場の一部ですが、金には中央銀行の外貨準備需要という独自の需要があります。

一方、原油や銅などの産業用コモディティは、世界景気、製造業活動、中国など主要国の需要、供給制約、在庫、エネルギー政策など、金とは異なる要因の影響を強く受けます。

そのため、金の需給動向をそのままコモディティ市場全体の方向性と捉えるのではなく、金固有の要因とコモディティ全体に共通するマクロ要因を分けて考える必要があります。


 

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