金(ゴールド)市場に、再びマネーが流れ込んでいます。弱い米雇用統計を受けた米利上げ観測の後退、そして中国人民銀行による継続的な買いを支えに、金価格は約2カ月ぶりの高値をつけました。基軸通貨である米ドルへの信認低下も、金買いを後押ししています。
2カ月ぶりの高値をつけた金価格
金価格の国際指標であるロンドン現物価格は、7月31日にトロイオンスあたり4393ドルまで上昇し、5月31日以来の高値をつけました。
市場では、複数の資産を組み合わせて運用する機関投資家などが、再び金を買い始めたと指摘する声が出ています。2025年に一時5000ドル近くまで急騰した後、しばらく調整局面が続いていましたが、ここにきて再び上昇基調に転じた格好です。
要因①:米国の利上げ観測が後退
金高の背景としてまず挙げられるのが、米国の金融政策を巡る見方の変化です。
7月の米雇用統計が弱い結果となったことを受け、市場では利上げ観測が後退しました。金利先物市場では、9月の利下げ確率が高まっています。
ここで押さえておきたいのが、金と金利の関係です。
- 金は利子や配当を生まない資産である
- そのため、金利が高い環境では債券などに比べて敬遠されやすい
- 逆に金利が低下すると、金を保有するコスト(機会費用)が下がり、買われやすくなる
つまり、利下げ観測の高まりは、そのまま金の相対的な魅力アップにつながるわけです。加えて、地政学リスクの高まりやインフレ懸念も、安全資産としての金需要を下支えしています。
要因②:中国人民銀行が7月も買い越しを加速
もう一つの大きな買い手が、中国の中央銀行である中国人民銀行です。
中国人民銀行は7月も金の購入を加速させました。買い越し量は前月より増加し、保有量は着実に積み上がっています。背景にあるのは、外貨準備の多様化という戦略です。米ドル一辺倒の資産構成を見直し、金の比率を高める動きが続いています。
世界の中銀が買い続ける「ドル離れ」の構図
金を買い増しているのは中国だけではありません。世界の中央銀行による金購入は、全体として継続しています。その背景にあるのが、地政学リスクの高まりと、米ドルからの分散、いわゆる「ドル離れ」の流れです。
「有事の金」という言葉があるように、金は不安定な局面ほど需要が高まりやすい資産です。中央銀行という長期目線の巨大な買い手が価格を下支えする構図は、当面続きそうです。
まとめ:金高を支える3つのポイント
- 米利下げ観測…弱い雇用統計で金利低下期待が高まり、金の保有コストが低下
- 中央銀行の買い…中国をはじめ各国中銀が外貨準備の多様化で金を積み増し
- ドル信認の低下と地政学リスク…安全資産としての需要が根強い
短期的な値動きには調整も伴いますが、金を買い支える構造的な要因は依然として健在です。投資家としては、金利動向と中央銀行の買い越し量の2つを定点観測しておくと、相場の方向感をつかみやすいでしょう。

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