欧州の猛暑が中国メーカーに追い風
欧州で中国製エアコンの販売が急伸している。中国家電大手・美的集団(Midea)が力を入れる工事不要の「移動式(ポータブル)エアコン」は、2026年初めから6月下旬までで20万台を出荷。これは2025年通年の実績の2倍に相当する規模だ。
7月、広東省・広州市南沙にある美的の工場では「Portable A.C.(ポータブルエアコン)」の生産ラインがフル稼働。欧州の猛暑で注文が殺到し、シェア28%を握る同社の製品でさえ供給が追いつかない状況だという。
なぜ「移動式」が売れるのか
最大の理由は、欧州特有の住宅事情にある。同社幹部は「欧州の建物はエアコンの設置比率が低く、窓に設置するタイプが主流。工事が不要な移動式が需要を喚起した」と語る。
歴史的建造物が多く、壁に穴を開ける工事のハードルが高い欧州では、コンセントに挿すだけで使える移動式が「今すぐ涼しくなりたい」というニーズにぴったりはまった形だ。
エアコン普及率の国際比較
| 国・地域 | エアコン普及率 |
|---|---|
| 日本 | 90%超 |
| 米国 | 約90% |
| 中国 | 60%超 |
| 欧州 | 大幅に低い水準 |
欧州の普及率は他地域と比べて著しく低く、裏を返せば「巨大な未開拓市場」ということになる。温暖化による猛暑の常態化は、この市場を一気に立ち上げる起爆剤となっている。
輸出額は前年同期比3.8倍
美的の欧州向け輸出は、2026年1〜6月で前年同期比3.8倍の14億元(約300億円)に達した。中国のエアコン輸出額を国別に見ると、フランス、オランダ、ドイツ向けが特に急増している。
国内低迷を海外で補う中国勢
この動きの背景には、中国国内市場の低迷がある。不動産不況などで内需が伸び悩むなか、中国の家電メーカーは海外シフトを加速させている。美的は欧州での成功を足がかりに、さらなる海外展開を進める方針だ。
日本メーカーへの示唆
日本では壁掛け型のルームエアコンが当たり前で、移動式は「サブ的な存在」という位置づけが強い。しかし、住宅事情が異なる欧州では、その手軽さこそが最大の武器になった。
高い省エネ技術と静音性を持つ日本のエアコンメーカーにとっても、移動式カテゴリーでの海外展開は大きなチャンスになり得る。猛暑という共通課題が広がるなか、どのプレーヤーが欧州市場を押さえるのか、今後の競争から目が離せない。


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