※本記事では、2025年9月に放送されたラジオNIKKEI「マーケットプレス 前場」で語られたNVIDIAの見方を出発点に、NVIDIAの公式資料・SEC提出資料で確認できる事実を整理しています。
NVIDIAと聞くと、まず「AI向けGPUの会社」というイメージを持つ人が多いかもしれません。
しかし、今回取り上げるラジオ番組では、NVIDIAを単なるGPUメーカーとして見るのではなく、AIを動かすためのデータセンター、ネットワーク、ソフトウェア、システムまで含めたAIインフラのプラットフォーム企業として見る必要がある、という視点が語られていました。
この記事では、
ラジオで語られた内容を、NVIDIAの公式発表やSEC提出資料と照らし合わせながら、7つのポイントに整理します。
NVIDIAの決算をどう見るか
ラジオで語られたNVIDIAの見方
ラジオでは、2025年7月27日に終了したNVIDIAの2026年度第2四半期決算について、非常に強い内容だったという見方が紹介されました。
一方で、決算発表後の株価は単純に上昇するのではなく、いったん売られる場面もありました。ここから、NVIDIAを見る際には「決算が良かったか」だけではなく、市場がその成長をどこまで織り込んでいるのかを見る必要がある、という視点が出てきます。
公式資料で確認した事実
NVIDIAが2025年8月27日に発表した2026年度第2四半期の売上高は467億ドルで、前年同期比56%増でした。データセンター部門の売上高は411億ドルで、こちらも前年同期比56%増となっています。Blackwellのデータセンター売上高も前四半期比17%増でした。
つまり、「AI需要を背景にデータセンター事業が急成長している」という点は、公式決算資料から確認できます。
投資家として見るポイント
ただし、強い決算=株価が必ず上がる、という意味ではありません。
NVIDIAを見る場合は、売上高や利益だけでなく、データセンター売上高、Blackwellの立ち上がり、次世代製品への移行、会社側の今後の見通しを継続して確認することが重要です。
特にAI関連株では、「良い決算だったか」だけではなく、「市場が期待していた以上だったか」という視点も必要になります。
GPUメーカーからAIプラットフォーム企業へ
ラジオで語られたNVIDIAの見方
今回のラジオで特に印象的だったのが、NVIDIAを「GPUを販売する会社」という単純な見方から一段広げる考え方です。
AIデータセンターでは、GPUだけを購入すればAIシステムが完成するわけではありません。CPU、ネットワーク、インターコネクト、サーバー、ソフトウェアなど、複数の要素を組み合わせる必要があります。
そのため、NVIDIAが「GPUの販売台数」だけではなく、ラック単位、データセンター単位でAIコンピューティングを提供する方向へ進んでいるという見方が紹介されていました。
公式資料で確認した事実
NVIDIA自身も、データセンター向けプラットフォームをGPUだけではなく、CPU、DPU、インターコネクト、スイッチ、ネットワークアダプター、ソフトウェアなどを含むシステムとして説明しています。
また、NVIDIAの2025年1月提出の10-Kでは、AIやHPCの処理規模が拡大する中で、従来の「サーバー」がコンピューティングの単位だったのに対し、データセンターそのものが新しいコンピューティング単位になり、ネットワークが不可欠になっているという考え方が示されています。
投資家として見るポイント
ここで重要なのは、NVIDIAはGPUを中核としながら、AIインフラ全体へ事業領域を広げていると言えます。
投資家としては、GPUそのものだけではなく、データセンター向けコンピューティング、ネットワーク、ソフトウェア、システム化された製品群がどの程度売上や利益に結びついているのかを見ることがポイントになります。
Blackwellが変えるAIデータセンター
ラジオで語られたNVIDIAの見方
ラジオでは、Blackwellについて、単なる新型GPUではなく、AIデータセンター全体を構成する「ラックスケール」のシステムとして考える必要がある、という説明がありました。
特にGB200やGB300、NVL72など、大量の計算資源をラック単位で接続する構成が話題となり、AIの計算規模が大きくなることで、GPU単体の性能だけではなく、GPU同士をどのようにつなぐかが重要になるという考え方です。
公式資料で確認した事実
NVIDIAは2026年度第2四半期決算発表で、BlackwellをAIプラットフォームとして位置づけ、NVLinkによるラックスケールコンピューティングの重要性を説明しています。
また、NVIDIAはBlackwellについて、GPUだけではなく、CPU、DPU、インターコネクト、スイッチチップ、システム、ネットワークアダプターなどを含むデータセンター規模のインフラとして説明しています。
投資家として見るポイント
Blackwellを見るときは、「GPUが何枚売れたか」だけではなく、AIデータセンターの大型システムとして、どのような製品構成で導入されているのかを見ることが重要です。
また、新世代製品への移行が進むと、旧世代製品との入れ替えや供給体制、顧客側のデータセンター整備なども業績に影響します。
NVLink・ネットワークまで広がるNVIDIA
ラジオで語られたNVIDIAの見方
ラジオでは、NVIDIAの事業拡大を考えるうえで、ネットワーク分野が重要になっているという話がありました。
GPU同士を高速につなぐNVLinkに加え、Ethernetを使ったネットワークなど、AIデータセンター全体を高速化する領域へNVIDIAが進出しているという見方です。
公式資料で確認した事実
NVIDIAは2026年度第2四半期決算発表で、AI向けEthernetネットワークプラットフォームであるSpectrum-XGS Ethernetを発表し、分散したデータセンターを接続して大規模AI処理に利用する構想を示しています。
また、NVIDIAの10-Kでは、ネットワーク製品としてInfiniBandとEthernetを含むエンド・ツー・エンドのプラットフォームを提供していると説明されています。
投資家として見るポイント
ここはNVIDIAを見るうえで非常に重要な変化です。
AIの計算量が増えるほど、GPUそのものの性能だけではなく、大量のGPUをどれだけ効率よく接続できるかが重要になります。
そのため、NVIDIAのネットワーク事業がどの程度拡大しているのか、そしてAIデータセンター全体に占めるネットワーク関連製品の存在感がどう変化しているのかは、今後も確認したいポイントです。
Omniverseと自動運転・ロボットへの展開
ラジオで語られたNVIDIAの見方
ラジオでは、NVIDIAの成長分野としてOmniverseにも触れられました。
Omniverseは、3D空間や現実世界の物理現象をコンピューター上で再現・シミュレーションするための技術として紹介され、自動運転やロボットなど、いわゆる「Physical AI」と呼ばれる領域との関係が説明されていました。
公式資料で確認した事実
NVIDIAは2026年度第2四半期決算発表で、Omniverseのライブラリやソフトウェア開発キットをPhysical AI開発向けに拡充したと発表しています。
同じ四半期のAutomotive売上高は5億8,600万ドルで、前年同期比69%増でした。また、NVIDIA DRIVE AVソフトウェアプラットフォームの本格生産や、DRIVE AGX Thorの初期出荷も発表されています。
投資家として見るポイント
ここでは、NVIDIAのAIが「画面の中だけ」にとどまらない点に注目できます。
生成AIだけでなく、自動運転、ロボット、産業シミュレーションなど、AIが現実世界で動く領域が広がれば、計算基盤やシミュレーション環境への需要も変化する可能性があります。
ただし、これらの市場が将来どれほどの規模になるかは、現時点で確定している事実ではありません。投資家としては、実際の売上や採用事例がどのように積み上がっているかを確認していく必要があります。
NVIDIAを見るときに注目したいポイント
ラジオで語られたNVIDIAの見方
今回のラジオでは、NVIDIAを単純な「GPUメーカー」として見るのではなく、AIを動かすためのインフラ全体を提供する企業として見る視点が示されていました。
GPU、ラック、ネットワーク、データセンター、ソフトウェア、Physical AIまで視野を広げることで、NVIDIAの現在地をより立体的に見ることができます。
公式資料で確認した事実
実際にNVIDIAの公式資料を見ると、データセンター向け事業にはGPUだけでなく、CPU、DPU、インターコネクト、ネットワーク、ソフトウェア、サービスなどが含まれています。
また、2026年度第2四半期には、データセンター売上高411億ドル、Blackwellのデータセンター売上高前四半期比17%増、Spectrum-XGSの発表、OmniverseのPhysical AI向け拡張、自動車事業の成長などが確認できます。
投資家として見るポイント
NVIDIAを見るとき、今後は次のポイントを継続して確認していきたいところです。
- データセンター売上高がどの程度のペースで成長しているか
- Blackwellなど新世代プラットフォームへの移行がどのように進んでいるか
- ネットワーク事業の売上・存在感がどこまで拡大するか
- 顧客側の電力・冷却・データセンター整備がAI投資の制約になっていないか
- Omniverse、ロボット、自動運転などPhysical AI関連事業が実際の売上につながっているか
- AI市場の成長に対して、競争環境や顧客の投資姿勢がどう変化しているか
このように整理すると、NVIDIAを「GPUの販売枚数」だけで見るのではなく、AIインフラ全体がどの方向へ拡大しているのかを見ることが重要だと分かります。
まとめ
今回のラジオで語られたNVIDIAの見方には、「NVIDIAをGPUメーカーだけとして捉えるのではなく、AIインフラ全体を提供するプラットフォーム企業として見る」という大きなテーマがありました。
公式資料を確認すると、NVIDIAは実際にGPUだけでなく、CPU、ネットワーク、インターコネクト、システム、ソフトウェアなどを組み合わせたデータセンター向けプラットフォームを展開しています。
Blackwell、NVLink、Spectrum-X、Omniverse、DRIVEなどを見ても、その事業領域が広がっていることは確認できます。
一方で、NVIDIAのGPUは依然としてNVIDIAの中核技術です。
むしろ現在のNVIDIAは、GPUを中核にしながら、AIを動かすためのコンピューティング、ネットワーク、ソフトウェア、システムへ事業領域を広げていると考えるほうが、公式資料に沿った見方と言えるでしょう。
今後NVIDIAを見るときは、決算の数字だけでなく、Blackwellなどの新世代製品、ネットワーク事業、AIデータセンターの設備投資、Physical AI関連事業などを合わせて確認していきたいところです。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。決算数値・事業内容は記事作成時点で確認した公開資料に基づいています。
参考資料
- NVIDIA「NVIDIA Announces Financial Results for Second Quarter Fiscal 2026」
- NVIDIA Investor Relations「Quarterly Results」
- NVIDIA Form 10-K(Fiscal 2025)
- U.S. SEC提出資料(NVIDIA Form 10-K)

